【弁護士解説】損害賠償
民法709条は、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と定めています。
インターネット上の投稿という場合に「故意または過失がない」ということは普通ありませんので、故意と過失については詳しく説明いたしません。
自分の意思で投稿した以上責任は免れない、というわけです。
「他人の権利又は法律上保護される利益」については、名誉権、プライバシー権、著作権、商標権が侵害されている場合が多いです。
そこで、インターネットへの投稿で他人の権利を侵害した者に対して、損害賠償を請求することができます。
では、損害賠償の金額はどのように定めるでしょうか。
・慰謝料
これは、名誉権、プライバシー権が侵害された場合に請求することができます。
慰謝料の金額としては、10万円~100万円以内といったところです。
投稿の悪質性や内容から金額が決定されます。
・弁護士費用
損害賠償を請求するためにかかった弁護士費用の一部を相手に請求することができます。
・財産的損害
著作権や商標権では財産的損害が中心になります。
有料で販売している著作物が無断で転載されてしまった場合、商標を勝手に使われて粗悪な品物を販売されてしまった場合に「本来得られるはずだった利益」を損害として請求します。
ただ、「本来得られるはずだった利益」というのは現実になっていない仮定の話になってしまうため、立証が難しいという問題がありました。
そこで、著作権法や商標法には、損害額を推定する規定があります。
では実際にどのような金額の賠償が命じられているのでしょうか。
写真素材として販売していた者が勝手に使われた事例で70万円、自己を撮影した写真が無断でツイッターに転載された事例で47万円と、100万円を超える金額になることは少ないですが、中には高額になった事例もあります。
漫画雑誌をインターネット上で無料公開していた事件では、1億6000万円の賠償を命じる判決が下されました。
賠償額がいくらになるかは、専門家でも非常に頭を悩ませる問題です。
万が一の際には早めに専門家に相談しましょう。