【弁護士解説】刑事告訴

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インターネット上の投稿について、いくつかの犯罪が成立する場合があります。

名誉毀損罪

刑法第230条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

侮辱罪

刑法第231条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

信用毀損罪・偽計業務妨害罪

刑法第233条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

悪質な投稿に対しては、刑事責任追及のため、告訴をするということが考えられるでしょう。

刑事責任を追及するには、警察に動いてもらわなければなりません。

「被害届」を出せば十分かと思われるかもしれません。

しかし、経験上、被害届を出しに行っても警察は「受理しない」と言って何もしようとしない場合が多いです。

そもそも被害届は「犯罪被害を受けた旨の申告」なので、受理するもしないもないはずなのですが。

警察に必ず動いてもらうために、「告訴」を行う場合があります。

犯罪により被害を被った者は、告訴をすることができる(刑事訴訟法第230条)とされていて、告訴があったときには警察は捜査の上その結果を検察官に送らなければならず(同242条、検察官は最終的にどういった処分をしたのか、告訴した人に通知する義務を負います(同260条)。

このため「告訴」は強力な力を持っているのですが、実際に行うに当たっては慎重を要します。

令和元年版犯罪白書によると、刑法犯の起訴率は37%です。

これは、警察が捜査を行った刑法犯の63%は刑事裁判を受けることなく「不起訴」という刑事責任を負わせないという判断を受けているということです。

せっかく告訴をして警察を動かしても、不起訴となったのではわざわざ相手に「問題ない」というお墨付きを与えるようなものです。

そのため、告訴を行うときには、特に悪質なものや重大なものにしぼることや、事前にしっかりと警察と相談しながら告訴までの手続きを進めていく、といったことが必要になります。